「ねえ、君」
「はい?」
後ろから声を掛けられて反射的に振り返った。ら、
「君、新人だろ?」
四角い鼻。
うん、恐るべしハンター試験。
豆は居るし四角は居るし、凄いねハンター試験。
「はあ、まあ」
そういえば居たな、さっき調べた中に。
トンパっていったっけ?
何で今、こんな面白い顔してる人の事忘れてたんだろうか。
「君、受験番号一番じゃないか。凄いね。しかも凄く綺麗だし」
…………ナンパ?
マチ、パク。
二人の言う通りハンター試験でもナンパされました。
まあ、正確にはナンパモドキだけどね。
本気でこんな所でナンパなんてしないでしょ。
「オレはトンパ。どうだい、お近づきの印に」
ズイッと差し出されるジュース。
そんなもの何処に隠し持ってたのさ。
っていうか、本気でナンパなの、これ?
なんてね。
「すいません、今はあまり喉が渇いていないので」
猫被り、っていうか情報屋の顔で対応。
もう癖になっちゃってるな。他人と話す時に猫被るの。
「それじゃあ、今じゃなくても試験の間とかに飲んでもいいからさ。折角だし」
はい、確実にビンゴ。
こいつ、狙ってる。私がこれを飲むのを。
何が入ってるかは解らないけど、確実に何か毒か薬が入ってるね。
全く、私にそんなもん勧めるなんて百五十万年は早いって。
見抜けないとでも思ってるの?
まあ、思ってるんだろうけど。
目で解るよ、目で。
騙す騙される、殺す殺される、そんな世界に居る私にはお見通しだっての。
「それじゃ……自分で一口飲んで頂けません?」
「意外に用心深いんだな、君」
とか言いつつ、トンパは私に差し出した方ではない、もう一個の方のを飲んだ。
てか、意外にって何だ、意外にって。
何気に失礼でしょ。
「そっちじゃなくて、こっち」
私は自分に差し出されている方のジュースを指した。
案の定トンパは冷や汗をかき始めた。
うっわ、その反応バレバレ。
まあ、一般の人じゃ解らないと思うけど。
自分を怪しんでる人にそんな態度見せたら、完璧にアウト。
もう騙す事なんて出来ないよ。
「あ、いや、でも、これは君の分だし…」
「前言撤回しますね。やっぱり喉渇いちゃって。トンパさんがこのジュース一口のんで、大丈夫だったら私も飲みます」
飲めるわけないよね?
何か入ってるもんねー?
女だからって甘く見てたら痛い目見るんだからね。
「あ、あはは、はは…の、喉が渇いてきたんだったらコッチのやるよ。あはは、はは……じゃ、じゃあな」
苦笑いしながらトンパはどんどん後退してった。
全く、私もなめられたもんよね。
っていうか、ジュース要らないし。
とりあえず押し付けられたジュースはドボドボとそこら辺に捨てる。
「ほー、見破ったのか」
「………」
出た、アモリ三兄弟。
今喋ったのは真ん中の奴?
てっきり左に居る一番大きい奴が一番上だと思ってたけど、そうじゃないみたいだね。
ていうかさ、もういいって。
不思議ちゃんな人達にはもう当分会いたくないっての。
最初は豆だし、次はヒソカだし、その次は四角い鼻だし、今は名前そっくり兄弟だし。
皆散れ!
私の前から散れ!!
私の周り不思議ちゃん立ち入り禁止!
「何か?」
「よく見破ったな」
「見破ったって…何を?」
「トンパの新人潰し計画だ」
「新人潰し?」
何それ。
何そのネーミング。まんまじゃん。
新人潰しなんてしてたのね、あの人。
ああ、だから最初に《新人?》って聞いてきたのか。
「あいつが毎年やってる事さ」
「ふーん」
別に興味無し。
誰が何をやろうが関係なーし。
それよりもキルアやゴンに会う事の方が断然興味ある。
「そんな事より、オレ達と話さないか?」
「結構です」
さっきから思ってたけど、両脇の二人喋んないね。
ただの金魚の糞みたいなんだけど。
ていうか、これは本気でマチとパクに報告した方がいいのかな?
いやいや、そもそも何で報告するんだろう?
毎回思うけど、何の為に?
Tiefe zwei Leute betrafen
出会った二人
ナンパ兄弟から離れてお目当ての二人を探す事にしてから、早数分。
あーらら。まーたやってる。
懲りないねー、あの人も。
あの四角い鼻に一発食らわせれば少しは懲りるかな?
「助け………は、いらないのか」
見ちゃったものはしょうがない、と思って助けてあげようとか思った矢先。
一番小さい男の子がジュースを飲んだ。
で、吐いた。
いや、待て。
吐くのはどうかと思うよ?一度口に入れたもんは出さない方がいいと思いますよ、少年。
ま、でも状況が状況なだけにそんな事は別に気にしないけどさー。
あれが食べ物だったら流石に気にするけど。
「トーンパさん」
にっこり営業スマイルでトンパとターゲットにされた三人組に近寄る。
はっはっはっ。
そんなに怯えるなや、新人潰しさん。
まるで私が悪役みたいじゃないか。
「き、君はさっきの……な、何か用かい?」
笑顔引きつってますよー。
もっとスマイルでいかなくちゃ。
そんなんじゃ新人潰しなんてこれからやってけないよー。
「懲りずにまーた新人潰しなんてしてるんですねー」
「なっ、知ってたのかっ」
「新人潰しだっていう事は親切な名前不思議ナンパ兄弟から聞きましたー」
名前不思議ナンパ兄弟は勿論、アモリ三兄弟。
親切でも何でもなかったけどね。
うん、親切っていうのは撤回しとこう。
「トンパさん、薄汚い事をした奴はいつか薄汚い方法で死ぬんだって」
《何なら、今ここで殺してもいいよ?》
これが今言った事に続く言葉。
ほど良く殺気を出して薄く笑えば、はい、脅迫の出来上がり。
ターゲットの三人組みは私の背後だから殺気は多少感じるかもしれないけど、顔までは解らないから警戒される心配は無し。
ヒソカみたに回りに警戒されても嫌だし。
噂が広まってゴンやキルアに警戒されても困るし。
因みに今の言葉はシルバさんから聞いた言葉だったりする。
あの言葉の後に《だからオレ達は堂々と殺しをする》って言ってた。
いや、その考えもどうなの?とか思ったけどね。
そんな事お口が裂けても言えません。
「……ちっ…」
舌打ちして去ってくくらいなら始めから新人潰しなんかしないように。
はい、これハンターの鉄則★
でもないけど。
「さてと。貴方達、大丈、ぶ……」
一応体の安否を確認しようと後ろを振り返った、ら。
何か居た。
ジンのミニマムサイズ居た。
「……ジン!?何時の間にこんなに小さく…!?いや、こっちの方が何倍も可愛いけど!」
ちょ、ま、え!?
ジン!?何で!?
てか、小っちゃ!可愛い!!
はい、誰か私に解る様に説明ー。
ジンが小さくなっただけでこんなに可愛くなったのかの説明ー。
「え!?お姉さん、親父の事知ってるの!?」
「……………」
お、お、おねいさんんん!?
どうしたのジン、頭打った!?
いや寧ろ頭割った!?
お姉さんって……ジンより年上になった覚えはないよ、私。
そんなおばさんになった覚えはないよ。
「え、っと…うん、え?ジン…?」
「やっぱり!お姉さん親父の事知ってるんだね!?」
おーやーじー?
お父さん?父親?Father?ファーザー?
え、待て、待て待て待て。
「え、君、誰?」
「あ、えっと、オレはゴン!ゴン=フリークス!」
あ、ああ。
ああ、ゴンね。ゴン=フリークスね。はいはい。
うん、覚えてたよ?
この子がジンの子供だって事はちゃんと覚えてましたよ。
決してジンの子供の存在を忘れてたとかそんなんじゃないよ?
はい、嘘です。忘れてました。
「お姉さん、ジン=フリークスって人知ってるんだよね?」
「え、あ、まあ」
「親父について何でもいいから教えてほしいんだっ」
うっ、そんなに純粋な瞳で見られても…っ。
眩しい、眩しすぎるってその純粋さ!
でもこの眩しさに負けてジンの事を話す訳にはいかないのよ。
特にゴン。貴方には。
「ごめんね、ジンについては教える事出来ないんだ」
「……そっか…」
……うっわ、ヤバイ。
負 け そ う ★
いや駄目だ。負けちゃ駄目だって。
このピュアな姿に負けちゃ駄目だって。
「ごめんね、ジンとの約束なんだ。ジンの事は外には漏らさないって」
嘘。
本当は《オレの息子にオレの事は話すなよ》って言われたのですよ。
でも、この子にそう言って、何で?て聞き返されても私はジンじゃないからジンの気持ちなんか解らない。
つまりは何も言えない訳で。
だから嘘をつきましたー。
全く、何なのさ、ジンは。
《あいつはいつかオレの事を探しに来る》とか言っちゃってさ。
まるで彼氏を待ってる彼女の様ですよー。
「お姉さんが謝る事じゃないよ!気にしないで」
「うん、ありがとう」
「ああ、美しい姫君。ボクの名前はレオリオと言います。宜しければ貴女のお名前を…」
ぞわりっ(←鳥肌
ななななななな何!?
何この人!?
行き成り手握ってきたと思ったらキスする真似してくるし。
本当、何。いや、まじで。
初対面の人にこれはどうなの。
若干引きます。
「えー、っと……、です」
「さんと仰るのですね。一緒にハンター試験頑張りましょう」
「は、い。そう、ですね。あの、出来れば手を離してくれると嬉しいんだけど…」
「おっと、これは失礼」
何。本当に何、この人。
おじさん、だよね?
とりあえず同年代には見えない、っと。
「私はクラピカという。お互い試験頑張ろう」
「あ、うん。頑張ろうね、クラピカ」
あ、れ?
今気付いた。クラピカの服の模様、どっかで見た事ある。
何処だったっけなー。
団員達の洗濯物の中の服の柄だったっけ?
「、さっきトンパに言っていた《懲りずに》と言うのは一体…」
「…え?あ、ああ、何か毎年新人をターゲットにして遊んでるらしいよ。新人潰しのトンパって呼ばれてるみたい」
危ない危ない。
皆の服の柄とか頑張って思い出してたらちょっと違う世界に行きかけてた。
「も私達と同じ様な事をされたのか?」
「されたけど、飲まなかったから大丈夫だっt「ぎゃああああっ」
はい、だーれーだ?
私の言葉を遮った奴は。
亡き者にしてくれる。
いや、嘘。
私そんなに心の狭い人間じゃないし。
「……あいつ…確かヒソカって言ったよな…」
「ああ。トンパの情報によればな」
ああ、はい。
主犯はヒソカだと。
ならいいや。
もう何も言わない。
殺しにも行かないよ。
だって関わりたくないもん。
ジリリリリリリッ
うるさっ!?
ちょ、う、煩い!
誰だ、あんな煩いベル鳴らした奴!!
防犯ベルか、この野郎。
「只今を持ちまして、受付時間を終了致します」
………………うん、ごめん。
この野郎とか言ってごめん。
何かアレだったね。
とっても不思議でちょっとダンディーなおじ様でしたね。
ていうかさ、口は何処よ?
「ー、早く行こうよ!」
「……え?」
って、うわ!
何か私置いてかれてる。
虐 め 試 験 再 来 。
じゃ、なくて。どうやら試験が始まったみたい。
あの人の口が何処にあるかとか考えてたらまた別世界にトリップしてたよ。
危ない危ない。
とりあえずゴン達の後を追いかける。
「おかしいな」
え、何が?
私の思考回路がですか?
「うん、段々歩くスピードが早くなってる」
あ、別に私の事じゃなかったわけね。
あー、吃驚した。
会って数十分のこの人達に思考回路がおかしいとか言われたらちょっと傷つくよ。
って、いうかさ。
「遅い」
走るならもっと早く走ろうよね。
こんなペースでいつまで走ればいいわけよ。
もう嫌。もっと前行こ。
「え?遅いって…あれ?、何処行くの?」
「ちょっと前の方までお散歩に」
ヒソカに絡まれない程度にお散歩に出掛けたいと思います★
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08.04.05 修正完了